公開:2025/08/08

更新:2025/08/14

第0回|Webと印刷のカラーの違い

1. なぜWebと印刷で色の扱いが違うのか

Webデザインと印刷デザインでは、そもそも色を作る仕組みがまったく違います。
一言でいうと、

  • Web光で色を作る(加法混色)
  • 印刷インクで色を作る(減法混色)

ディスプレイは光そのものを発し、赤(R)、緑(G)、青(B)の光を組み合わせて色を表現します。
印刷物は光を反射し、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)のインクで光の反射量を減らして色を作ります。


2. RGBとCMYKの色再現範囲(ガモット)

同じ「赤」でも、WebのRGBと印刷のCMYKでは再現できる色の範囲が異なります。
RGBはとても鮮やかな色が出せますが、CMYKはインクの性質上、彩度や明るさに制約があります。

📊 図2:sRGBとCMYKの色域比較図

  • 三角形で囲まれた領域がRGBの色域
  • 内側にある小さい範囲がCMYKの色域
  • 「印刷ではこの鮮やかな色は再現できない」という部分をハイライト

3. Webデザインと印刷デザインの発想の違い

印刷では、紙質やインク量による発色差を考慮して色を選びます。
Webでは、光学的な見え方やデバイス差、環境光による印象の変化を考えます。

項目

印刷デザイン

Webデザイン

表現方法

インク(減法混色)

光(加法混色)

基本色空間

CMYK

RGB(sRGBが基準)

制約

紙質・インク特性

デバイス・ブラウザ差

色の安定性

プロファイルで管理

sRGB前提だが広色域化進行中


4. まとめ

  • 印刷とWebは物理法則から違うため、同じ色指定でも見え方が変わる
  • Webでは長らくsRGBが標準だったが、今後は広色域ディスプレイ対応が必須になる
  • この流れの中で、OKLCHのような均等知覚色空間が注目されている

次回(第1回)からは、このWebカラーの歴史と色指定の進化を見ていきます。